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2016-01

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aQuA -アクア- / Chapter 6 - part 2


Chapter 6




 2



ハイルランバーの都は、このアストルリア大陸のほとんどを統治する強大な国ハイルランバーの城下町で、各方面から様々な人が集まる大きな町だった。
街路はたくさんの人々で賑わい、通り抜けるだけでも一苦労だ。

「もう日が暮れてるのに、まだまだ賑やかだな」

クリスは、宿屋の窓から行き交う人々を見て感心していた。

外は徐々に暗くなり月が出始めていたが、人通りは一向に衰える様子はない。
店先で客を呼び込む男、バイオリン弾きが音色を奏で、それに合わせて踊る者。
朝までこの状態が続くんじゃないかというくらい、この町は賑やかだった。

「本当に、迷惑なくらいね。いつまで馬鹿騒ぎしてるつもりかしら」

鬱陶しそうに溜め息をつく。
それを見たクリスは、意外だという顔をした。

「へえ。賑やかなのが好きそうなのに」
「そりゃ、もちろん楽しい雰囲気は好きよ。でも、こんな馬鹿みたいに騒いでるだけの雰囲気は嫌いなの。……実家を思い出すから」

そう言いながら、ルーンは顔に嫌悪感を漂わせた。
クリスは何かまずいことを聞いたと思ったのか、気まずそうにルーンから視線を逸らす。

「あ、そういえば」思い出したように、クリスが切り出した。「ザリの町へ行く前に、洞窟がどうとか言ってなかったか?」
「……あ!そうよそう!あたしはそこへ行きたかったのよ!」

思い出したように、ルーンが椅子から立ち上がり大きな声をあげたので、クリスは驚きのあまり、窓ガラスを突き破って下に落ちてしまいそうになった。

「危うく忘れるところだったわ。できればすぐにでも行きたいんだけど……無理よね」ルーンはベッドで眠っているアクアを見て、脱力しながらまた椅子に座り込んだ。

「そうだな。マリンは魔力を使いすぎて倒れてしまったし。それに僕らも、あれだけ戦って疲れてるからな……」
「仕方ないわね。それじゃ、ちょっと情報収集に行ってくるわ。迷いの森に入るんだから、少しでも詳しい情報が欲しいし」

「僕はマリンを看てるよ」クリスがひらひらとルーンに手を振る。

ルーンは一言、「それじゃ」と部屋から出て行くと、まずはこの宿屋の主人に話を聞いてみることにした。

「迷いの森にある洞窟?聞いたことねえなぁ……」

宿屋の主人というのは、しばしば泊まりに来る旅人からいろいろな話を聞く。
そのため少しばかり豊富な情報を持っているものだが、主人も知らないとなれば、森の中を歩いて探すしかなくなってしまう。

「お客さん、やめときな。迷いの森は、未だ未知に包まれた森だ。入ればなかなか出られないぞ。何のお宝に目が眩んでるのか知らないが、命が惜しければ諦めるんだな」

そう言うと、主人は奥の部屋に行ってしまった。

「なによ、役に立たないわね」

しかしそれで諦めるルーンではない。
危険だからやめとけと言われて、はいそうですか、と食い下がる性分ではなかった。
欲しい物は手に入れる。
それが彼女の信条だった。

「ここで情報収集できないなら……しょうがないわね、気が進まないけど酒場に行くしかなさそうだわ」

ルーンは酒場独特の雰囲気があまり好きではなかった。
特にお酒のにおいは、嫌悪感を抱くほどだった。
故郷にいる父親がお酒が大好きで、毎晩のように客を呼んでは、杯を交わし飲んだくれていた。
そんな父親を、だらしないと幼い頃から見てきた彼女にとって、お酒なんてものは害悪でしかなかった。

一度クリスたちがいる部屋に戻り、一応酒場についてくるかどうか聞いてみたが、「もしマリンが目覚めた時、僕らがいなくて、しかもいきなりこんなところに寝ていたらびっくりするだろう?」と言って断られた。

仕方なく一人で酒場へ行くことになったルーンは、宿を出ると、大通りを避けるように裏路地へ入っていった。
ハイルランバーには酒場がいくつかあるのだが、このような裏路地にあるところばかりではない。
普通にお酒を嗜んで、くつろぎの時間を求める者たちは、賑やかな大通りの酒場へ入っていく。
しかし、そのような雰囲気を求める者ばかりではない。
酒を飲んで人の迷惑も考えずに騒いだり、中には一般的に野蛮だとされる行為を楽しむ者もいる。
そういった者たちが集まるのが、このように裏路地に店をかまえた酒場だ。
情報量が多く、いろいろなところから集まった情報を売買したり、親切に教えてくれる者もいる。
レアな情報を手に入れるには、恰好の場所だった。

ルーンはゆっくりと酒場の扉を開けた。
彼女が入ってきても誰も見向きもしないほど、中は賑わっている。
端のほうで賭博をやっているらしく、大柄な男が負けたのか「てめぇ!今のはイカサマだろぉ!」と声を張り上げていた。
なんとも野蛮そうな雰囲気だが、ルーンはこういうところは初めてではなかったので、躊躇することなくカウンターへ突き進んで椅子に腰掛けた。

「お嬢ちゃん、若いのにこんなところへ一人で来て平気なのかい?」
「あら、いくらあたしがピチピチで美人だからって、見くびってもらっちゃ困るわね。それより、聞きたいことがあるんだけど」

不敵な笑みを浮かべるマスターを、ルーンは軽く受け流した。
マスターはほう、と意外そうな顔をすると、「で、何が聞きたいんだ?」と棚からボトルを出しながら尋ねた。
そのボトルには、しっかりと『ノンアルコール』と書かれている。

「西の森に、宝が眠っているといわれる洞窟があるらしいんだけど、それについて何か知らないかしら?」

西の森、という言葉に、マスターの眉がぴくっ、と動いた。
この様子だと、何か知っているようだ。

「……悪いことは言わねえ、あの森はやめときな」そう言いながら、マスターはルーンの前にグラスを置くと、さっきと打って変わって、神妙な顔つきで声を押し殺しながら話し始めた。

「今までにもお宝狙いの奴らが森に入っていったらしいが、生きて帰ってきた者はわずかだ。お宝に目が眩んでる輩でさえ、もう二度と入りたくないと言うほどだ。ゴーストか何か分からないような化け物まで出るって話だしな」

「化け物?」ルーンが飲んでいる手を止めた。

「ああ。どんな腕の立つ魔法使いでも歯が立たねえらしいぞ」

やはり一筋縄ではいかない場所なようだ。
しかし、そんな所だからこそ、手に入れた時の達成感は大きい。
ルーンとしては、なんとしても手に入れたいお宝だった。

「どうもありがと。お代はここに置いておくわね」

まだ中身が残っているグラスの横にルーンはお金を置くと、マスターが「お、おい、本気でやめとけよ」と止めるのも聞かずに酒場から出ていった。



ルーンは宿屋に戻ると、クリスに酒場で聞いたことを話した。

「……そんな危ない所へ僕らは連れて行かれなくちゃいけないのか?」クリスが怪訝な顔で言う。
誰だって付き添いなんかで死ぬかもしれない所へ行きたいとは思う者はいないだろう。

「なによ、臆病ね。あたしにかかればそんな化け物、どうってことないわよ」
「どんな魔法使いでも歯が立たなかったんだろ?僕は物理攻撃だし、どうしたって敵うわけないだろう。それに、マリンだってまだ、眠ったままだし」

クリスの言うように、アクアはあれからまだ目覚めていなかった。
魔力は精神力でもある。
アクアが唱えた魔法は、その精神力をかなり消費するものにちがいない。
回復にも時間がかかるにちがいなかった。

「しかたがないから、マリンは宿屋の主人にお願いして、二人で行きましょ。こうしている間にも、誰かが行ってるかもしれないし」
「おいおい、それは酷いぞ。もしマリンが目覚めて、近くに僕らがいなかったら心細いだろう」
「でも、もし誰かに先を越されたりしたら、来た意味ないじゃないの」

この言葉にはクリスも呆れてしまった。
ルーンはどれだけ強欲なのだろうか。

「じゃあ一人で行けよ。この強欲女」
「ご、強欲女ですって!?」
「ああそうだよ。君だってあれだけ戦って、疲れてないわけじゃないだろ。僕だって少し休みたいさ。なのにお宝お宝って、どれだけがめついんだよ」

ルーンは顔を真っ赤にして、クリスを睨んだ。
そして、「分かったわよ!一人で行くわ!ここでお別れね、さよなら!」と吐き捨て、バン!と扉を開けて行ってしまった。

しばらく呆然とルーンがいた方向を見つめ、「ほんとにすごい欲だな……」とクリスはため息をついた。






to be continued...



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Jis

Author:Jis
趣味は音楽、映画鑑賞や読書、漫画など。
気ままに小説を書いたりしてます。
時間があればどうぶつの森、モンハンもプレイ中。
忙しくてなかなか趣味に没頭できないんですが、
のんびり更新していきたいと思います。

Latest:2016.02.19 小説『aQuA -アクア-』のChapter 8 をアップしました!

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